園に「行きたくない」と言われたときの、親のかかわり方

子育て

4月は、はじめての幼稚園や保育園に、親も子も不安でいっぱい。

私の息子も、入園してから慣れるまでに、数か月かかりました。

はじめての場所、はじめましての先生や友だち、

はじめて親と離れて、環境も変わり、不安になる子どもも多いことでしょう。

始めは楽しみに園に行く姿がみられていたのに、急に「行きたくない」と言われることもよくあります。

親としては、

休んでほしくない

仕事があるから行ってもらわないと困る

園は楽しいはずなのに

と思い、子どもの姿や気持ちが変わるには、どうすれば良いか、朝の、時間が迫り焦る中、試行錯誤すると思います。

しかも”行きたくない”気持ちを表して、大泣きしたり、着替えもしてくれなかったり、家に出ようとすと、部屋に閉じこもったりすることもあります。

そのようなとき、以下の5つのことに気をつけながら子どもとかかわり、親から先生に伝えるべきことについても、お伝えしたいと思います。

①”行きたくない”気持ちを受けとめる

まずは、行きたくない気持ちを受けとめましょう。

「行きたくないね」と気持ちを受けとめることで、子どもは親に、“自分の気持ちをわかってもらえた”と安心し、それまで泣いていた子どもが、泣きやむこともあるでしょう。

ことばが発達しておらず、上手くそれを伝えることが難しいこともありますが、理由がなく、ただ「お家がいい」「ママ、パパと一緒がいい」と思うこともあるでしょう。

また何が嫌なのが、何が不安なのかを聞き、行きたくない気持ちを、連絡帳や直接先生に伝えます。※連絡帳とは、親と先生が、その子の、家庭や園でのようすを伝えたり、気になること、心配なことを書いたりする、情報を共有する交換ノートのようなものです。

子どもの気持ちを想像しながら「パパと遊びたいんだよね」「トイレ行きたいとき、ママがいないと不安なんだよね」などと、気持ちを代弁してあげることも必要です。すると子どもも、気持ちことば一致して、感情をコントロールできます。

気持ちを受けとめることによって、まずは安心し、話を聞いてもらったり、代弁してもらったりすることで、気持ちが落ち着き、親の気持ちにも耳を傾けてくれやすくなるのです。

また「行きたくない」という一言でも、たくさん理由があります。

4月の新年度にかかかわらず、始めは頑張っていたけれど、園に少し慣れた頃、自分を出すことができて泣けたり、始めは周りが見えていなかったけれど、成長と共に周りが見えはじめ、寂しさを感じるたりすることもあるでしょう。その他にも、嫌なことがきっかけで行きたくなくなったり、病気で休んだ後長期休み(春休み、夏休み、冬休み)後にも、同じような姿がみられたりすることもあります。

さらには、体調が悪い時にも「行きたくない」ということばになることがあります。そのため普段の子どもの身体の状態も、把握しておく必要があるでしょう。場合によっては、1日休ませて、親子の時間を作ることで、子どもは”気持ちを受けとめてもらえた”と感じることもあります。その子の心と身体の体調や、その子の性格などからも見極め、休むことも必要になることもあるでしょう。

②服を自分で選ばせる

園にもよりますが、制服、または体操服ではなく、私服登園が許されるのであれば、本人に選ばせます。

靴や靴下だけでも良いでしょう。

息子も入園当初、行きたくない気持ちを表し「体操服は嫌!」と投げて、なかなか着させることができませんでした。しかし、いつも着ているお家の服であれば「どの服がいい?」「どっちがいい?」と、自分で選ぶと着てくれて、一歩前進!できました。

(時には、体操服への移行も声をかけていましたが、体操服ではなくても、私服でも良いという、先生からの許可をもらっていました。やはり安心して登園することを、大事にしてくださっていたからです)

自分で選ぶことで、嫌がっていた着替えも、スムーズに着てくれることに繋がり、自分のお気に入りのものであれば、安心したり、”先生に見せたいな”という気持ちから、行く気になったりすることもあります。

晴れていても、長靴がいい場合もあるでしょう。

危ないとか、遊びにくいと思うかもしれませんが、まずは安心して行くことが大事です。

本人も、長靴では遊びにくいとか、歩きにくいと感じると、自分から裸足になったり、靴に履き替えたりします。

そのため靴も持たせて、登園させても良いと思います。

③園の楽しさを伝える

園に行くと楽しいことがあるということも伝えます。

行事予定を確認しながら「今日は、みんなでお散歩があるよ」などと伝えます。

また「今日の給食で、大好きなバナナが出るよ」など、楽しみがあると、”行ってみようかな”という気持ちになりやすいです。

さらに、環境の変化の不安感が強い子には、今日、園ですることを先に伝えておくことで、心構えができ、安心感につながります。

④子どもと約束をする

「園でママにおりがみでハート作ってきてね」

「今日の給食、何だったか教えてね」

「ママ楽しみに待ってるね」

などと伝え、約束をすると、大好きなママやパパが喜んでくれることをしたいと、子どもは素直に思うでしょう。

また「このお手紙、先生に渡してね」とか、家にあるお花を持たせて「先生にあげたら、きっと喜ぶよ!」と、お願い(約束)をすることも効果があります。

ほかにも、親からの約束だけではなく、子どもからの約束で、たとえば「バスじゃなくて、お迎えが良い」と言われ、可能なのであれば、それに応えることによって、園に行く気持ちになることもあります。

⑤子どもの気持ちに揺らがず、先生にゆだねる

園に行ったものの、親が離れると、泣いて追いかけてくることもあります。

すると、たいていの先生が、その子どもの傍にいてくれます。

その時の親の心は、悲しみでいっぱいになり、我が子の姿に涙が出る親も多いでしょう。

しかし、本人は切り替えようとしてるのに、親が後戻りしてしまうと、なかなか子どもは気持ちを切り替えることができません。親も、子どもの気持ちに揺らがず、振り向かず、先生にゆだねましょう。

場合によっては、先生と相談して、しばらく親も一緒に、園で過ごすことも良いでしょう。

そして様子をみて、先生に任せましょう。

先生に、子どもの気持ちを伝える

先生にゆだねたあと「今日は行きたくないと言っていたけど、頑張って来ました」と、一言、連絡帳や直接先生に伝えておくことで、先生も、登園できただけで、ほめてくれたり、気にかけてくれたりします。

実際に、私も保育者として、同じような経験があり、保護者からの声で、子どもの気持ちに気付かせてもらっていました。その時はいつも以上に、他の保育者とも情報を共有し、連携しながら、気にかけて過ごしていました。

また母親になって、自分の息子も登園を渋ったため、息子の気持ちを、担任の先生に伝えると、毎日必ず小さな出来事でも、園の様子を伝えてくださり、時には連絡帳とは別で、手紙を書いてくださいました。そのような先生の対応に、私自身も安心して、息子の気持ちを受けとめ、泣いても気持ちよく背中を押して送り出すことができました。

先生に“自分のことをわかってもらえた””自分のことを見てくれてる”という安心感から、次第に「今日お休みする」から「あと何日行ったらお休み?」と聞くようになり、自ら着替えて、荷物を持って、園に行くことを嫌がらず!前向きな気持ちになってくれました。

友だちとのケンカがきっかけであっても、先生に伝えることで、先生のかかわり方が変わって、子どもの気持ちも変わります。

親は、泣いて別れた我が子を不安に思いながら、しばらくの間、過ごすことになりますが、先生も連絡帳や直接園での様子を伝えてくれます。すると次第に、子どもは気持ちを切り替えて、親が思っているよりも、楽しんでいることも多いです。

まとめ

子どもに、園に「行きたくない」と言われたら、みなさん焦って、子どもの気持ちを変えようとしてしまいがちです。

けれども、どんなときも、怒ったり、嘘をついたりせず、まずは気持ちを受けとめることで、信頼感が安心につながります。

そして

「今日は大丈夫!1人で行ける」

「今日は泣かなかったよ」

と、1人で行けたことが自信になり、次につながります。

環境に慣れる時間は、その子その子によって違います。

しかし、その子のペースに合わせてかかわっていくことによって、園に行くとき、自ら服に着替え、帰って来たときは、より生き生きとした表情になっていると思います。

「早く幼稚園行きたいよ。だっていっぱい遊べるもん」という嬉しいことばも出てきたら、親も、朝、笑顔で送り出せますよね。

ぜひ、朝の焦る気持ちを抑えて、子どもの安心感や信頼感を築き、先生と連携しながら、乗り越えていきましょう。

最後に

最後に、子どもが登園をしぶる時期に、息子と読んだ絵本を紹介します。

『いーれーて!』 福音館書店 北村人・作

私は、不安感が強く、ママっ子だった息子と、絵本を読む時間をつくり、いつも以上にゆったりと過ごすことを意識しました。

親子での時間を作って、その安心感と信頼関係から、子どもが動き出していけるように…と。

そして、

「いーれーて!」

「いーいーよ!」

と、この絵本の中で、何度もおもちゃたちが言っています。

公園で出会った子「みんな友だち!友だち大好き!」と言っていた息子にとって、この絵本は勇気を与えてくれました。

▼月刊誌 「いーれーてー!」(こどものとも年少版2022年5月号)

北村 人 作

福音館書店 2022年5月1日発行 定価440円(税込)

いーれーて!|福音館書店
いーれーて!。子どもたちに長く読み継がれる絵本・童話・科学書を作り続けている福音館書店の公式サイト。

次回は、、、

園に慣れてくると、自分の気持ちを素直に出し、友だちとのトラブルも出てきます。園だけではなく、家に友だちが遊びに来たときにも、物のとりあいなど、みられると思います。親としては、相手の子どもや親の気持ちになって、我が子の姿に、心配になると思います。そのとき、保育者はどのようなかかわりをしてくれるのか、また家庭ではどのようなサポートが必要なのかを、お伝えしたいと思います。

【カハリー 30代】
元保育士、元幼稚園教諭、元主任。0~6歳のさまざまな子どもの保育を経験。保育園の立ち上げにも携わった。
小学生を相手とする学童保育、体験学習や環境学習、東日本大震災のボランティア活動にもかかわる。
趣味は、細かい作業(裁縫、工作、お弁当作り)、クラシックバレエ歴20年、書道5段・歴12年、コーラス歴7年(結婚式場の聖歌隊の経験あり)、フルマラソン3回完走、自然物好き(多肉植物、草花、昆虫※兄が昆虫博士)、我が子の成長記録を残すこと。
現在は、専業主婦で、男の子と女の子を育てる、2児の母。

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